今日、おもうこと。

僕には同じ歳の従兄弟がいる。
名をTと呼ぶ。
誕生日は2週間違い。同じ盛岡市内で暮らしていたので家族とともに頻繁に行き来して、単に従兄弟と言うよりは兄弟のように友だちのように、仲良く育てられた。

僕らが小学生の頃はファミコンブーム真っ只中、家に遊びに行ったらふたりしてゲームに熱中した。お気に入りはエキサイトバイクツインビー。ただしアイスクライマーは殺し合いだ。

僕にとって伯父さんにあたるTのお父さんが八戸に単身赴任をしていたので、夏休みはみんなで旅行に行ったりした。八戸の海で泳ぎ、疲れたら伯母さんの作ってくれたおかか入りおにぎりと麦茶で休憩。昭和の小学生の正しい夏休みの過ごし方だった。

中学生の頃か高校に入ってからか忘れてしまったが、ふたりで夜行バスを使って東京へ遊びに行ったことがあった。早朝新宿で降りて、なぜか代々木へ行き着き、駅前にあった吉野家で牛丼大盛りを食べた。当時盛岡には店舗がなくて「これがキン肉マンの食べていた吉野家の牛丼か…!」と感激しながらがっついた記憶がある。
田舎者丸出しだがなにせ30年近く前の話だ、勘弁してほしい。


その後僕は東京へ、Tは専門学校を経て県の職員として働き始めた。

あれはTが専門に通っていた頃だったか働き始めてからか定かでないが、彼が東京へ遊びに来たことがある。東京を連れ回ってその夜、久しぶりの乾杯の場所に選んだのはなぜか浅草・駒形どぜう。いせ込みに向かい合わせ、ビールと酒をやりながら鍋をつまんでいると、隣に居合わせたオジサンから「お兄さんたち地元のひとかい?」と声をかけられた。
「すいません、ふたりとも岩手の田舎者なんです照」
でも、東京の下町の店で居合わせたお客さんから、そう言われたことは正直ちょっと嬉しかった。
これも20年以上前の笑い話だ。

岩手と東京とで離れていることもあり子どもの頃のように頻繁に会うことはなかったが、親戚一同が集まる新年の宴会なんかで会うと、しこたま酒を差しつ差されつした。


だけどちょうど10年前の今日、状況は一変した。
2011年3月11日、東日本大震災

Tは県の職員として沿岸地域にある病院で働いていた。
安否がわからない時間は長かったようだが、無事が確認された。
病院の建物にも津波が押し寄せるなか、動けない入院患者さんを背負い、屋上まで避難したそうだ。
通勤用の車が流されたそうだが、幸い命は助かった。
良かった、本当に良かった。命さえあれば。心からそう思った。

その時は。


二十代の頃から痩せてはおらず、まるっとしていたTだったが、恒例の新年会で会うとさらに太っていた。
「命からがら避難して何日もの間食うや食わずやの生活をしたんだ、食べたいもの食べればいいんだ」
伯母さんや我々親戚たちはそう考えていた。

だけど、Tの傷は僕らの考えるより、もっと深かった。

精神的に参ってしまっていた。
身体的にも不調をきたすほど、日常的に大量の飲酒をしていたらしい。
結果、休職して盛岡の実家で静養していた。
とはいえ寝たきりのような生活ではなく、若干の引きこもりっぽさはあったもののなんとかやっていた。
職場から離れ、産まれ育った街に帰ってきて、以前よりはストレスを抱えず暮らしてるようだったし、新年会で会った時には多少は酒も飲めるようだった。

しかしある日、うちの母からLINEがきて、Tが入院したことを知った。
急性膵炎。膵臓癌の恐れはなかったようだが、結構な重症らしい。
当然もうアルコールはダメ、脂っこいものも避けて、健康的な食事を心がけなくてはならない。常識だ。
しばらくして退院、また自宅療養。


T、おれが言えた義理じゃないけど、親に心配かけんなよ……。


そして、いまから2年前、2019年5月のある日、Tが救急病棟へ入ったと報せがきた。職場に退職届を出しに行き、その夜体調が悪くなってみずからタクシーを呼んで入ったそうだ。

T…お前な、これ以上親に心配かけんじゃねーよバカヤロウ……。
そう思った。

次の朝、ふっと眼が覚めた。まだ5時台、二度寝しよ…と思ってウトウトしてたら母からのLINE。

「Tくんが逝きました」

え?え?
嘘だろ?

マジかよ……と思いつつも、心のどこかで納得してしまった自分もいた。



あいつはあっけなく逝ってしまった。



震災では2万人以上の人たちが犠牲になった。
Tの場合は関連死には含まれない。
でも、あの震災がなかったら、あいつも死ぬことはなかったはずだ。
遺された人たちは、誰しもそう思ってるだろう。
あの震災がなければ、と。


幸い僕は生きている。
店を閉めた。コロナで仕事減った。
そんな大変なことがあっても嫌なことがあっても、それでもなんとか生きていられている。

だったらもっと一生懸命生きなきゃな。僕にはまだやりたいことややり残したことがある。
Tの分までとか言うつもりはさらさらないけど、自分に言い訳せずに、もっと今を大切にして生きなきゃな。

上手いこと言えないし言葉にすると陳腐になるけれど、今日、そうおもった。

ソムリエのバッヂ、いくらかかった?

だらだらと書き連ねてきたソムリエ試験についても、今回で終了する。

ぶっちゃけ一番書きたかったことだ。
ズバリ、ソムリエの資格取るのにいくらかかったのか計算してみた。

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まず受験料。CBT方式の2回受験、それに例の分厚い教本がついて¥34,440。
参考書、¥3,520、問題集、¥3,080。
ワイン代、これは正確に定かではないのだが、たぶん¥10,000ほど。ただしこれは半ば家呑み用の酒代ともとれる。
渋谷のワイン屋・ヴィノスやまざきの店頭でのブラインドテイスティングセット¥1,100×2回。
ソムリエこーざのテイスティング対策セミナー¥12,100。
ノート5冊とボールペン4本、¥1,500くらい?

そして認定登録料(&バッヂ代)、¥20,950。

ざっと¥90,000くらいか?
そのうち¥55,000は協会に納めたお金だから、¥35,000ほどをプラスアルファで費やしたことになる。
ワインスクールに通ったりするとそれだけで¥150,000くらいかかっちゃうので、ほぼ独学で極力お金抑えながらやれたと思う。

これはちょっと自慢したい笑


勉強していて、もちろん過去の蓄積は少なくなかったけれど、ステイホーム期間を活用しながら集中して覚えることができたのは確かだ。

もしこれからソムリエ試験を受ける人がこれを読んでいるのならば、とにかく気合い入れて、1日のうちちょっとでもいいから教本や参考書などを開く、あるいはネットの対策サイトみたいなところに目を通してほしい。良い意味での習慣ってやっぱり大事だ。

そして自分にとっても、とりあえずこれだけやった、そして結果も出たぞという事実が、これからに活きていくような気がする。

てか、活かしていかなきゃなんだよな。

ソムリエ試験 3次実技

2次のテイスティングを終えて10日ほど経ち、合格発表の日をむかえた。
今回も発表はソムリエ協会のサイトから。
ドトールでコーヒーを飲みながら、そわそわと発表の時間を待つ。

結果、2次試験通過!
試験の出来から6:4、いや五分五分くらいかなと思っていたので、今回も素直に嬉しかった。

飲食業、酒業界に勤務していない一般の方が受験するワインエキスパートは2次で終了なのだが、ソムリエの場合は3次試験まである。

試験官をお客様と想定してのワインの抜栓とデカンタージュという実技試験だ。それに2次試験の時の論述問題の回答が加点される。

抜栓→デカンタージュについては、受験者はソムリエ協会のサイト上の模範演技の動画が見られるようになっている。また、有名ワインスクールや過去の受験者の動画がYouTubeに上げられている。
ワインの抜栓やデカンタージュ自体は特に問題ないのだが、協会に求められている手順でひとつひとつの動作を正確にこなしていかなければならないし、やはり試験会場特有の雰囲気があって緊張するらしい。

2次の合格発表から3次試験まではひと月ほどある。
3次までくると80〜90%の合格率らしいので、正直そこまで心配はしていなかった。
「よほどおかしなことをしない限りは合格」というのが、もっぱらの噂だ。
模範動画は見ていたけど、試験10日くらい前までは余裕ぶっこいて何もしていなかった。

いよいよという頃になって、とりあえずセリフを暗記。
僕はランニングが趣味で、仕事を終えたあと走って帰ったりもするのだが、普段音楽を聴きながら走るところを、実技のセリフ暗記にあてることに。
「ご注文頂きました…20XX年の…シャトー〇✕でございます…こちら若いワインではございますが…」なんてことをブツブツつぶやきながら、息切らして246を走っていたのはこの僕ですw

家に帰ってからは実技の練習。安いワインを買ってきて、パニエと呼ばれるワインバスケットに見立てたファイルボックス(100均で購入)で抜栓、そして、ペットボトルにデカンタージュする。

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……貧乏臭い練習法だが、意外と違和感なかったw
注文を受けてからの一連の流れを何度か練習して試験に臨むことにした。


3次試験は目黒の雅叙園
3人の試験官に向けて6人の受験者が一斉に演技をする。
流れはこうだ。
注文を復唱し、ワインやデカンタ、グラス、パニエ、ナフキンなどをトレイにて用意。指定された作業スペースにて、デカンタージュを行なう旨となぜ行うかを説明する。抜栓しテイスティング、そしてデカンタージュ。ホストテイスティングを試験官に向けてお願いし、演技を終える。そして使った備品の片付けまでをして、試験終了。

「今まで生きてきたなかで一番緊張した」なんて書き込みもネット上では見られたが、僕はそこまでではなかったな。
師匠の前で初めてお客さんへのカクテルを作った時のほうがよほど緊張した。
レストランやバーで働いてるひとなら、そういう感覚ってあるんじゃなかろうか?

僕たち6人の順番がきた。
ちなみに今年はコロナ感染予防のため、マスク着用だ。「実際のサービスに則して行ってください」という説明があったので、グラスとデカンタをチェックする時とコルクの匂いをチェックする時、そして当然抜栓したワインをテイスティングする時に、必要に応じてマスクをずらしたりした。横目でちらっと見て驚いたのだが、マスクをし続けたままテイスティングをしてる受験者がいた。匂いわかんないじゃん…。

意識したのは流れるような動作ではなく、ひとつひとつの動作をメリハリつけてしっかりとやること。そして2mほど離れた試験官に聞こえるよう大きな声で言葉を発することだ。

一通りミスなくこなしていったのだが、周りの受験者たちが次々と終了していく。制限時間は7分。ヤバい。
デカンタからホストのグラスへワインを注ぎ、「それではごゆっくりお楽しみ下さいませ」と一礼し、片付けに取り掛かろうとしたところで「終了です」の会場内アナウンス。
ヤッべーーー!
時間内に片付けまで終わんなかったよ!
そのあとは各自使用したデカンタからボトルに移し直し、袋に入れて持ち帰るのだが、その時間も試験官に見られてると考え、終わらなかった片付け等もきっちりこなし、完全終了。
ホテルを後にした。

まさか7分のうちに片付けまで終わらないとは…。いやー、舐めてたわけではないけど油断してたか?前回2次試験の時の反省がまったく活きていないではないか…。アホだ。
しかしこれも後は野となれ山となれ。
悔いてどうなることではない。
人事を尽くして天命を待つ…って尽くしてないけど、そんな気分だった。


さて、こんな色々やらかしちゃった自分であるが、結論から言うと合格した。
協会に2万円ほどの登録料を振り込んで、数週間後にブドウのバッヂと認定証が送付された。
3月に受験する決心をしておよそ9か月、特に1次試験に関しては20年ぶりの試験勉強という感じで四苦八苦したが、なんとかバッヂまで辿り着くことができた。
もちろんワインや酒の道は奥深く、常に情報を更新して勉強を重ねていかなければならない。
それ以上にサービスマンとして、どうやってお客様に喜んでいただくかは永遠の課題のようなものだ。

でも、心の奥のさらにその裏側では「資格は取っちゃったもん勝ちでしょ! 」とも思う自分もいる。
この下衆い考えをどう押し込めながら、精進していくである…。

ソムリエ試験 2次 テイスティング

品川にある新高輪プリンスホテルの大きな宴会場。いわゆるミーティングテーブルの真ん中に、段ボール製の仕切り板を置いて、感染予防&カンニング対策をして2人がけに。会場内を見回したところざっと300人以上が受験されていた模様。

時計やスマホ、資料等は着席時に鞄にしまうよう指示あり。スマホはもちろんだが、前年スマートウォッチでカンニングした猛者がいたというネット上の噂が。また、筆記具を忘れた人向けに貸し出す旨もアナウンスがあった。大事な試験受けるのにそんな奴いるのかよ、とは思ったけれど、おそらく毎年いるんだろな……。

協会スタッフからのオリエンテーションを受け、まずは論述問題がスタート。

1・普段ワインをあまり飲み慣れていない方に、いわゆる家飲みワインをすすめるとき、どのようにすすめるか。
2・マスカット・べーリーAに合わせる料理について。
3・オーストリアゼクトguについて説明せよ。

ゲ!オーストリアゼクト!?
しかもこの問題が一番記入欄が大きい……。
とりあえず書けるだけ書いたけどたったの2行!
オーストリアのスパークリングワイン。糖度や補糖、産地など、厳密に定められている」
記入欄はたしか200字分あったと思う……やっちまったなあ……。

論述の解答用紙が回収され、いよいよテイスティング
試験開始前から並べられている5脚のグラスのうち、まずワイン3種の外観をチェック。白2種、赤1種。色調や輝きなどをマークしていく。


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こちらは過去の試験のテイスティング用紙。

いざ香りをとる。
小ぶりのテイスティンググラス、これをいきなりグルグル回しちゃダメです。
まずは素直に香りを嗅ぎ、しばらくしたのち軽くグラスを回して空気と触れされる。

白①開いている・華やかな 柑橘、リンゴ、アカシア、花梨?白バラ?菩提樹
石灰と貝殻、硫黄?
爽やかな柑橘系の香りより、華やかなタイプの印象が強く、フランスのリースリングと解答。
正解はフランスのソーヴィニヨン・ブラン

白② これはきっと樽のシャルドネ!ヴァニラや乳製品ぽさをとる。アルコールのボリュームも若干感じ、フランスよりは新世界かなと、アメリカのシャルドネと解答。とはいえあとから考えるとアプリコットやパイナップルは選んでいない。これは暑い産地の特徴なのだけど、そのニュアンスはなかったような…。
正解は日本のシャルドネ

赤  色調は紫がかったルビー/ラズベリーレッド。グラスの縁の色からオレンジがかったとも迷ったが。香りの第一印象は開いている・複雑な。カシス、ブラックチェリー、乾燥イチジク、牡丹、紅茶。土っぽさは感じたけど腐葉土の選択肢がなくなっているな…。色調と香りから、サンジョヴェーゼ、ネッビオーロ、テンプラニーリョに絞る。甘草、ヴァニラ?生肉?鉄分。この時点でテンプラニーリョはないなと思い、サンジョヴェーゼかネッビオーロだろうと。口に含んだ感じでしっかりとしたタンニンと酸味を感じる。イタリアの2択で間違いないはず。キャンティクラッシコをはじめとするサンジョヴェーゼは昔ひたすら飲んでいて、個人的にもっと強い鉄分を感じるのと色合いがややルビーがかってることから、イタリアネッビオーロを選択。
これは品種・産地ともに正解。

ちなみにそれぞれ生産年も当てなければなのだが、これはどう回答したか覚えておらず、ただネッビオーロに結構な熟成感を感じたので2015年と書いたら正解は2017年だった。

品種と産地を正答できるのが一番なのだが、実は試験においてはその得点配分はそこまで高くはなく、香りや味わいの特徴を捉えてこそらしい。



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これが後日発表された、2020年の各項目ごとの配点。
まあ本来は香りと味わいがわかれば必然的に品種・産地はひとつに絞られていくのだろうが、そこまでのレベルには達していない。

さて、僕が一番ショックだったのがその他の酒2種。いまは少し離れているとは言え15年以上バーテンダーとして働いてきて、スピリッツ、リキュール、フォーティファイド…一通り飲んできたはずだった。
実際試験対策もほとんどしておらず、最近の協会の傾向として焼酎泡盛あたり有り得るかなと、香りを再確認した程度。

酒①琥珀色、粘性もある。これは以前お客さんからお土産でもらったピノー・デ・シャラントでしょ!ホワイトポートはもっと色が薄かったはず!

酒②青臭いしほんの少しだけ色がついてる、こりゃテキーラだ!竜舌蘭!口に含んで舌に刺す感じと喉ごし。間違いない。

結果、①ホワイトポート、②ウオッカズブロッカ
まさかの2問外し……。
ウオッカっていったら無色透明ニュートラルな香りと味わいを思い浮かべるのだが、まさかズブロッカが出るとは……。
あの青臭さ、何故もっとしっかりテイスティングして桜餅フレーバーをとらなかったんだ……。

……なんと言うか先入観とおごりが出たなとショックでもあり、経験なんてクソみたいなもの、もっとしっかり2種の酒と向き合うべきだったと反省した。

試験日の17時に正解が発表され、上記の回答内容から凹みつつも希望はあるか?と悩む。
しかしもはや後の祭り、後は野となれ山となれ。合格発表まで10日ほど、開き直って過ごしていた。

ソムリエ試験の受験勉強 その3

二次試験の内容はワイン三種のテイスティングと、その他のアルコール二種の種類を当てること。
それに加えて論述問題が三問、ただしこちらは三次試験の採点に加わるので、
二次の合否は実質テイスティングのみで決まる。

テイスティングは嗅覚と味覚という自分の感覚を磨き上げ、それをワインを表現する際に用いられる言葉に当てはめていくこと。
ワインの香りや味わいを説明するなんて言うと「猫のおしっこのような…」「犬の額の…」とか思われるかもしれないが、基本的にはそんなことはなく、試験に関して言えば決められた選択肢のなかから決められた数を選んでいく、そんな作業だ。
一次のひたすら暗記はまさに受験勉強という感じでなかなかタフだけど、テイスティングも、自分のなかの曖昧な感覚を協会が求めるワイン分析の表現に当てはめていく作業になるので難しい。

当然参考にすべきは協会の教本なのだが、これだと圧倒的に情報が少ないし、なによりテイスティングするうえでのコツのようなものは書いていない。
仕事で色々な国の色々な品種を飲んできたけれど、どうしても自分の趣味嗜好による偏りが出てしまう。
そこで1次試験でもお世話になった ソムリエこーざ のサイトや、その他の関連するサイトの情報をもとに、品種と産地の特徴を覚えていく。
テイスティング用ワインはすべてコンビニ、スーパー、カクヤス、KALDI、あと近所の酒屋さんで揃えた。どれも1000円弱から1500円程度のものだ。
ちなみにコンビニだとやはりセブンイレブンが最強。ソムリエ協会の現会長でもある田崎真也さんとタイアップしているだけあって、店頭でのPOPが非常にわかりやすく手にとりやすい!

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テイスティングと言ってもせいぜいふたくち3くち、ネットで調べた過去のテイスティングシートとにらめっこしながら考えていくだけ。仮に2品種なら10分か15分もあれば終わってしまう。というかそれ以上はなかなか集中力も続かないし、鼻と舌の感覚が鈍ってしまう。
残ったワインは翌日以降に持ち越すが、ボトルのなかで香りが酸化してしまうのでせいぜい3日目まで。残ったワインは普通に晩酌用にまわしてしまう。


結局買ったワインは10本ほど。
品種や産地ごとの特徴を大まかにでも捉えることができた。
さらに大きかったのは、ソムリエこーざの運営者さんが東京で開いてくれた対策セミナーにも参加して、より集中的に学べたことだ。

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自信も過信もないままに、2次試験会場である新高輪プリンスホテルへ、いざ向かわん。

ソムリエ試験の受験勉強 その2

前回ブログをアップしてから4日が過ぎてしまった。
このへんが元来怠惰な僕の性格を表している……。
こんなの一気に書いて日をおかずに更新しなきゃ意味ないのにな。


さて、ステイホームが始まり1か月ほど、なんとか勉強する習慣がついてきた。
学習したことがどれだけ頭に入っているかは怪しいけれど、やはり今年のソムリエ試験を受験することを決めた。
受験資格は通算3年以上アルコール飲料に関する業務に従事していること。
(ちなみに以前はワインアドバイザーという同等の資格もあり、
これには例えばワインインポーターとかビール会社に勤務しているような方たちが受験していたのだが、
数年前にソムリエ資格に一本化されたらしい)
僕も学校を卒業してから20年間、飲食業界の片隅で生きてきたので当然クリア。
協会のHP上のフォームから、これまでの職歴を含む必要事項を記入し、受験票用の身分証明書の写真も添付して送信。
一次試験2回受験と教本代、合わせて34,440円をカードで支払って、申し込み完了!
自分にとって安くはないお金を支払ったので、これで後には引けない。

10日ほどのち、5月の半ばになって教本が届いた。
受験者たちから「電話帳」と呼ばれる厚いテキストである。


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たしかに分厚い、そして重い。

酒類概論、ワインのみならずリキュールやジンやウイスキー、ブランデーなどの洋酒全般や中国酒、日本酒や焼酎。
ブドウの生育や仕立て方、醸造
そして世界各国のワインについて。
フランス、イタリア、スペインといったメジャーな国から、アメリカや南ア、チリやオーストラリアなどのニューワールド、そしてジョージア(グルジア)やブルガリアルーマニアのような、東欧諸国まで。
また、各国の料理や主要なチーズ、さらにワインの輸入や販売、管理など、本当に広範に渡る。

酒類概論や洋酒に関しては知識の蓄積があったので、むしろ復習という感じで進めていくことができた。
フランスイタリアスペイン、ニューワールド、仕事で扱ってきたものもあるので多少の知識はあった。
しかしそれはあくまでも商品知識みたいなもので、例えばブルゴーニュの生産地、畑の位置だったり、ボルドーの1級から5級までの格付けなんてほとんど知らない。
もうとにかく暗記である。
暗記の仕方は完全に昭和。ノートに繰り返し書いて、書いて覚える。

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お目汚し失礼します……。
こんな感じでとにかくノートに書き込んでいった。
もっと効率の良い暗記法があったら教えてほしい泣

でも、書き込みに使ったボールペンのインクが切れるごとに、ノートが1冊終わるごとに、ちいさな達成感のようなものを覚えたのは確かだった。


さて、6月になるとありがたいことに仕事が復活し始めていた。
忙しくはなかったけれど、そうすると今度は勉強するのがおっくうになってくるから困りもの。
1日ちょこっと勉強して1日サボっての繰り返し。
3歩進んで2歩下がるような進捗状況。冒頭に書いたように僕は本来怠惰なのである。
しかし協会からCBT試験の受験日時を予約を促すメールが届くと、さすがに尻に火がついた。
今年の受験期間は7月20日から8月31日まで、のはずだったのだが、新型コロナの影響によって1週間延長され9月7日までとなった。
8月半ばに1回目を受けて、ダメでも傾向と対策を踏まえて9月に2回目を受けることにして、1回目の予約をした。(2回目受験は後日改めて予約できる)

7月になると通勤電車の車中や仕事の休憩時間なんかにも参考書やノート、スマホのページを開いていた。
この頃お世話になったのがネット上のこのサイト。
「ちょっとまじめにソムリエこーざ」
https://koza.majime2.com/#google_vignette

とあるソムリエの方が独自に運営さているサイトで、毎年内容をアップロード。キャッチコピーは「もう9年目、自信あります。スクールに通わずとも合格できるということ。」
受験生たちの間で密かに有名らしい。
覚えるべきことの解説はもちろん、近年の試験の傾向や過去問、協会のトレンドなども書かれているので、ブックマークしていつでも参照できるように。

また、ネットで評判の良かった問題集も購入。

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ソムリエ試験対策問題集1200問(柴田書店)

1日100問くらいやれば2週間ほどで1周できる、試験まで残りの期間、それを3周もすればだいぶ頭に入るんじゃね?と、見通しの甘い考えではあるがひたすらやり込むことにした。

協会の最近の出題傾向として、
・日本ワインはもちろん日本酒や焼酎といった、日本の酒
・古くからのワイン生産の歴史を持つ東欧諸国(特にジョージア)
このあたりには結構比重を置いてるらしい。
イギリスやウルグアイといった、ここ数年で新しく教本に載った国々もしっかりチェック。

そしていよいよ8月、1回目の受験日を迎える。

「時は来た、それだけだ」なんて破壊王みたいな心境にはならず、
いつか乗り換えで利用した登戸駅に置いてあったドラえもんを思いだす。

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「あ〜んドラえも〜ん!暗記パン出して〜!!泣」


試験会場は、渋谷のとある雑居ビルの一室。
パソコンが十数台並ぶ部屋で、ソムリエ試験だけではなく他の試験を受ける人たちと一緒に受験。
僕の隣には中学生らしき子が座って、既に何かの試験を受けていた。

出題は120問、時間は70分。正答率60〜70%ほどで合格と言われているが定かではない。
一問ごとに四択の選択肢から解答を選び、次の問題をクリックしていく。
心の中で問題と解答をぶつぶつつぶやきながら。
自信がない問題には「後で見返す」マークをつけられる。
自分の中で自信を持って解答できたのが四割ほどで、残り四割は二択までは絞れたけど自信なし、そして二割はさっぱりわからん!って感じだった。
時間を10分ほど残したところで全ての問題を見直しまで終わる。
ダメでも2回目がある、ええい!ままよ!と、「終了する」をクリック。
画面が切り替わるとそこに出てきたのは
「合格」
の二文字!

周りを忘れてリアルに「うおっ!」って声が出ました笑
一瞬ケツも浮いた笑

受付で合格通知をプリントアウトしてもらい、終了です。

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「B判定笑」って言われてもいいんです、とりあえず合格すれば!

いやー、夏の盛りで暑かったこともあって、この日のビールは美味かった~。
シャンパンじゃないのかって?いややっぱビールが美味いでしょ!



さて、これで一番の難関と思われた一次試験は通過、お次は二次のテイスティング
その3へ続く予定です笑

四十過ぎの手習い・ソムリエ試験の受験勉強 その1

ソムリエ試験に合格した。

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日本ソムリエ教会によると2019年までのソムリエ資格取得者の累計は33,589人、
またここ数年は年に4、5,000人の合格者が出ていて、合格率はおよそ30%台。
そこまで難易度の高い資格とは言えない。
しかしながら、飲食業に従事している人間からするとなんとなく高い壁のように思えてしまうのも事実。
自分自身、20年この業界で働いていて、同業の仲間や先輩やら後輩やら、周りにソムリエ取得者はいたけれど、
特別その必要性を感じなかったってのもあり、受験勉強に費やす努力を避けてきた。

だけど2020年、世界は一変した。いまさら語るまでもない新型コロナウイルス禍。
飲食業界も大打撃。休業や閉店も相次いだ。
僕は2017年に自分の店を閉店し、2020年現在とある企業に属していたので、
休業補償を受けながら4月5月はステイホームを続けることができた。

さかのぼること今年の3月、仕事が先細りを始め、4、5月は完全に休業になることが伝えられた。
さあどうするかな、コロナによる不安なニュースばかりが流れるけれど、
かといってステイホームに甘んじて毎日ごろごろしててもしょうがない・・・・・・。
どうやら時間はある、しかし金はない。
そこで思い浮かんだのが、ソムリエ試験を受けてみることだった。
いや、正確にはソムリエ試験の勉強をとりあえず始めることだった。

協会のホームページを調べてみると、協会編集のテキスト代込みの受験料が一次試験1回受験で29,600円、2回受験で34,440円。
以前のペーパー方式、マークシート方式が廃止され、2018年からパソコンを利用したCBT方式に変更になったとのこと。
どちらにしろ安くはないけど、受けるなら2回チャンスはあったほうがいいよな・・・・・・
とは言えホントに覚えられるのか?ろくに勉強もせずに34,000円をソムリエ協会に上納するだけになってはいかん。
そう日和って、申込みはせずにとりあえず市販の参考書を買って勉強を始めることに。
もちろんワインスクールに通うという選択肢はハナからない。スクールの資格取得講座の受講料はだいたい10〜15万ほどかかる。そんな金はない。


ネットの情報と書店でいくつか見て、買ったのがこれ。


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https://www.amazon.co.jp/dp/4816368272/ref=cm_sw_r_cp_awdb_imm_c_SmC0FbD1HEJMK?_encoding=UTF8&psc=1
「ワイン受験テキスト&模擬試験 自由が丘ワインスクール編」(ナツメ社)
本来当年度版を買うべきところなのだけど、3月末の時点では未発売だったので19年度版を。
持ち歩く前提だったのでそれほど大きくないのが良い。あとそんなに高くない。
まずはこれを中心にひたすら暗記。
・・・・・・なのだけど、とにかく集中力が続かない!
なんならいざ始めようと机を前にしても、スマホやらラジオやらに気がいってしまって勉強が始められない!

そりゃ仕事してきて覚えなきゃいけないことや勉強しなくちゃいけないことなんて山ほどあったけど、
ちゃんとした試験勉強なんてそれこそ20年来離れてるからな。
家だと誘惑が多すぎるので、自粛期間でも営業していた近所のドトールや、公園、大学のベンチなど、
極力環境を変えて、まずは参考書とノートを開くという習慣を身体に馴染ませることに。
自宅近くに某国立大学があって、構内の芝生広場が近所の住民たちの散歩道・憩いの場になっている。
散りゆく桜の下で参考書なんて開く。その大学の空気、雰囲気を味わうだけで、なんか自分も勉強できるようになった気がした笑
(その後コロナの感染拡大によって、ベンチが使用禁止になったり構内立ち入り禁止になるのだが)


そしてさらなる問題は、四十代という年齢、加齢による記憶力の低下・・・・・・。
日々の積み重なる飲酒で脳が相当に縮んでいるような気もしないではない・・・・・・。
今日やったところを明日になるとけっこう忘れている。
一週間後には頭の中の「ソムリエ試験フォルダ」からすっぽり抜け落ちている。

そんななか、国家資格試験を経験している友人から興味深い情報を教えてもらう。
エビングハウス忘却曲線

https://atsueigo.com/forgettingcurve/

留学に必要な英単語の大量暗記や、それこそ資格試験のような受験勉強をしている人たちには当然のように
知られた勉強法らしい。これによって復習をする適切なタイミングを意識することができた。

もう一つはポモドーロ・テクニック。
ポモドーロってなんだよトマトかよ、って聞いたら、まさにそれで、イタリア人の起業家が愛用していた
トマト型のキッチンタイマーを使って時間を管理していたらしい。

https://www.newsweekjapan.jp/amp/stories/carrier/2019/03/post-11867.php?page=1

これに関しては名称こそ知らなかったけれど、「自分の集中力が続くのは20分からせいぜい30分だな」と
感じ、スマホのタイマーを使って20分勉強したら5分息抜きして、今日は集中できるなと思ったら30分、
というように時間を区切りながら勉強していた。教えてもらう前から。
さすがじゃん、オレ!

なんとなく「勉強をする」という習慣がついてきて、集中力も続くようになって気がした。
そして5月を迎える。
世間ほまだまだ自粛期間、ステイホームは続く。


長くなってしまった……その2へ続きます笑