ソムリエ試験 3次実技

2次のテイスティングを終えて10日ほど経ち、合格発表の日をむかえた。
今回も発表はソムリエ協会のサイトから。
ドトールでコーヒーを飲みながら、そわそわと発表の時間を待つ。

結果、2次試験通過!
試験の出来から6:4、いや五分五分くらいかなと思っていたので、今回も素直に嬉しかった。

飲食業、酒業界に勤務していない一般の方が受験するワインエキスパートは2次で終了なのだが、ソムリエの場合は3次試験まである。

試験官をお客様と想定してのワインの抜栓とデカンタージュという実技試験だ。それに2次試験の時の論述問題の回答が加点される。

抜栓→デカンタージュについては、受験者はソムリエ協会のサイト上の模範演技の動画が見られるようになっている。また、有名ワインスクールや過去の受験者の動画がYouTubeに上げられている。
ワインの抜栓やデカンタージュ自体は特に問題ないのだが、協会に求められている手順でひとつひとつの動作を正確にこなしていかなければならないし、やはり試験会場特有の雰囲気があって緊張するらしい。

2次の合格発表から3次試験まではひと月ほどある。
3次までくると80〜90%の合格率らしいので、正直そこまで心配はしていなかった。
「よほどおかしなことをしない限りは合格」というのが、もっぱらの噂だ。
模範動画は見ていたけど、試験10日くらい前までは余裕ぶっこいて何もしていなかった。

いよいよという頃になって、とりあえずセリフを暗記。
僕はランニングが趣味で、仕事を終えたあと走って帰ったりもするのだが、普段音楽を聴きながら走るところを、実技のセリフ暗記にあてることに。
「ご注文頂きました…20XX年の…シャトー〇✕でございます…こちら若いワインではございますが…」なんてことをブツブツつぶやきながら、息切らして246を走っていたのはこの僕ですw

家に帰ってからは実技の練習。安いワインを買ってきて、パニエと呼ばれるワインバスケットに見立てたファイルボックス(100均で購入)で抜栓、そして、ペットボトルにデカンタージュする。

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……貧乏臭い練習法だが、意外と違和感なかったw
注文を受けてからの一連の流れを何度か練習して試験に臨むことにした。


3次試験は目黒の雅叙園
3人の試験官に向けて6人の受験者が一斉に演技をする。
流れはこうだ。
注文を復唱し、ワインやデカンタ、グラス、パニエ、ナフキンなどをトレイにて用意。指定された作業スペースにて、デカンタージュを行なう旨となぜ行うかを説明する。抜栓しテイスティング、そしてデカンタージュ。ホストテイスティングを試験官に向けてお願いし、演技を終える。そして使った備品の片付けまでをして、試験終了。

「今まで生きてきたなかで一番緊張した」なんて書き込みもネット上では見られたが、僕はそこまでではなかったな。
師匠の前で初めてお客さんへのカクテルを作った時のほうがよほど緊張した。
レストランやバーで働いてるひとなら、そういう感覚ってあるんじゃなかろうか?

僕たち6人の順番がきた。
ちなみに今年はコロナ感染予防のため、マスク着用だ。「実際のサービスに則して行ってください」という説明があったので、グラスとデカンタをチェックする時とコルクの匂いをチェックする時、そして当然抜栓したワインをテイスティングする時に、必要に応じてマスクをずらしたりした。横目でちらっと見て驚いたのだが、マスクをし続けたままテイスティングをしてる受験者がいた。匂いわかんないじゃん…。

意識したのは流れるような動作ではなく、ひとつひとつの動作をメリハリつけてしっかりとやること。そして2mほど離れた試験官に聞こえるよう大きな声で言葉を発することだ。

一通りミスなくこなしていったのだが、周りの受験者たちが次々と終了していく。制限時間は7分。ヤバい。
デカンタからホストのグラスへワインを注ぎ、「それではごゆっくりお楽しみ下さいませ」と一礼し、片付けに取り掛かろうとしたところで「終了です」の会場内アナウンス。
ヤッべーーー!
時間内に片付けまで終わんなかったよ!
そのあとは各自使用したデカンタからボトルに移し直し、袋に入れて持ち帰るのだが、その時間も試験官に見られてると考え、終わらなかった片付け等もきっちりこなし、完全終了。
ホテルを後にした。

まさか7分のうちに片付けまで終わらないとは…。いやー、舐めてたわけではないけど油断してたか?前回2次試験の時の反省がまったく活きていないではないか…。アホだ。
しかしこれも後は野となれ山となれ。
悔いてどうなることではない。
人事を尽くして天命を待つ…って尽くしてないけど、そんな気分だった。


さて、こんな色々やらかしちゃった自分であるが、結論から言うと合格した。
協会に2万円ほどの登録料を振り込んで、数週間後にブドウのバッヂと認定証が送付された。
3月に受験する決心をしておよそ9か月、特に1次試験に関しては20年ぶりの試験勉強という感じで四苦八苦したが、なんとかバッヂまで辿り着くことができた。
もちろんワインや酒の道は奥深く、常に情報を更新して勉強を重ねていかなければならない。
それ以上にサービスマンとして、どうやってお客様に喜んでいただくかは永遠の課題のようなものだ。

でも、心の奥のさらにその裏側では「資格は取っちゃったもん勝ちでしょ! 」とも思う自分もいる。
この下衆い考えをどう押し込めながら、精進していくである…。